グローバルエンジニアリング、電力の小売事業拡大

2014年6月5日 <日本経済新聞 電子版>

発電設備の保守・点検を手掛けるグローバルエンジニアリング(福岡県古賀市、堀江英明社長)は電力の小売事業を拡大する。6月に自社保有の発電所を設置するなどし、販売先の契約数を来年3月末までに現在の約2倍に引き上げる。発電設備など自社の設備を強化し、電力の小売市場参入組との差異化を図る。2016年に予定される電力・ガスの全面自由化を前に体制を整える。

6月に福岡県飯塚市に出力1000キロワットのディーゼル方式の発電機を設置する。現在、電力は電力会社や新電力が参加する日本卸電力取引所(東京・港)のほか、自家発電を手掛ける企業から調達して、顧客に販売している。加えて自前の発電設備を持つことで、新規顧客に安定供給ができることをアピールする狙いがある。投資額は1億円になるとみられる。

「ネットワークオペレーションセンター」と呼ぶ電力の供給と需要の状況を一元管理する司令センターも今秋をめどに設置する。今後、電力の調達先や販売先が増えることが予想されることから、電力需給のバランスを予測できる仕組みが欠かせないと判断した。電力利用のピーク時には使用量の抑制を促す「デマンドレスポンス」の仕組みも導入する。

グローバルエンジニアリングは13年10月に電力販売を開始。ホテルや病院、工場など約100件に電力を販売している。楽天と提携して電力の販売先を開拓しており、現段階で約500件の契約を獲得済み。契約数を来年3月までに1000件に、16年3月までに3000件に増やす計画だ。

電力自由化を受けて、大手電力10社以外で電力を小売りする「新電力」に参入する企業が増えている。九州電力以外からの電力購入を希望する人が増えると見込まれる一方で、新電力企業間の競争の激化も予想される。グローバルエンジニアリングは安定供給などを前面に押し出し、顧客の囲い込みを進める。

グローバルエンジニアリングは1991年の設立。発電設備の保守・点検の他、BEMS(ビルエネルギー管理システム)事業などを手掛ける。14年8月期の売上高は6億円強になる見通し。