電力会社から乗り換えは68万件に、企業向けのシェアは8%台後半

2016年04月27日 <スマートジャパン>

電力市場の構造を抜本的に変える「電力システム改革」の第2弾として、小売の全面自由化が4月1日に始まってから1カ月近くが経過した。改革の第1弾で発足した「電力広域的運営推進機関」(広域機関)が小売全面自由化に伴う契約変更(スイッチング)の申込件数を毎週金曜日に更新している。

最新の4月15日時点のスイッチング申込件数は全国で68万3000件に達した。そのうち東京電力の管内だけで43万件もあり、全体の6割以上を占めている。次いで関西の16万件が多く、2つの地域を合わせると86%にのぼる。3番目に市場が大きい中部では3万件にとどまっている状況だ。

全国で電力を利用している家庭の契約総数(6260万件)と比較すると、スイッチングの比率は1%強になる。スイッチングを仲介する広域機関のシステムが3月1日に稼働してわずか1カ月半の実績である点を考えれば、順調に伸びていると見るべきだろう。このペースで伸びていくと1年間に500万件に達して、スイッチングの比率は8%を超える。

ただし自由化が始まる直前の3週間(3月11日〜31日)と比べて、自由化後の2週間(4月1日〜15日)は伸びが鈍化している。スイッチングに積極的な家庭の申し込みが3月中に一巡して、4月1日から安定した状態に入ったようだ。当面は低めの伸びで推移していく可能性が大きい。

伸びが鈍化した理由の1つは、電力の購入先を変更するメリットが明確になっていない家庭が多いからだ。特に電力の使用量が少ない家庭では電気料金の割引額が小さいこともあり、契約変更の手間をかける意欲は生まれにくい。

資源エネルギー庁が2015年11月に実施した調査の結果を見ても、自由化後すぐに電力の購入先を変更すると回答した比率は2.8%にとどまった。そのほかに変更を前向きに検討する利用者が20.9%を占める。こうした変更の意欲がある利用者を取り込むためには、もう一段のメリットを加える必要がありそうだ。